-はじめに-
「印章専門店・古橋三栄堂」のHPをご覧いただきありがとうございます。
名古屋市・西区・名古屋城下町の「浄心」にて1953年より
印章専門店としてご愛顧いただいております。
印章彫刻士歴40年以上の店主・古橋宏が接客から製作まで一貫してご対応しています。
ご来店されるお客様は、印章について何もわからないという方がほとんどです。
ご安心くださいませ。用途をお伺いし、丁寧に印材選びをサポートし、もっとも美しい仕上がりとなるよう手書きの文字デザインと熟練の彫刻技術で価値のある唯一無二の印章をお作り致します。
「印章コラム」連載は、印章の知識を少しでもわかりやすく簡単に解説し、お店選びのきっかけになればと思い書かせていただいております。日本の伝統工芸品である、「手書きデザイン・手彫り・手仕上げ印章」の世界を少しでも知って頂き、興味をもっていただけたらうれしいです。
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〈印章彫刻について〉
印章の製作には大きく分けて、①文字デザインと②彫刻があります。
前回は①の文字デザインについて解説しました。今回は②彫刻についてです。
印章は本来、印章彫刻士が印刀と呼ばれる小さな刀を使用した手彫り技術で作られる価値ある芸術品でしたが、機械化が進み、レーザー彫刻機が自動で行う「機械彫り」が主流となってしまいました。
手彫り印章、機械彫り印章はどちらも印章として使用できますが、価値や出来栄えはまったく違うものとなることを知って頂くとよいと思います。
01.手彫り印章と手仕上げ印章-
彫刻には、まず、1.「荒彫り」という大まかな彫刻と、2.「仕上げ」という細密な仕上げ彫刻の2つの工程があります。「荒彫り」と「仕上げ」、両方を印章彫刻士が彫刻刀を使って、文字を彫り上げいったものが「手彫り印章」です。「荒彫り」を彫刻機で行い、「仕上げ」を手仕事で行ったものを「手仕上げ印章」です。「手彫り印章」と「手仕上げ印章」は、印刀で彫り上げた文字は捺すと美しい文字が浮かび上がります。「手彫り印章」のほうが、「荒彫り」の工程に時間がかかるため、どうしても価格は高くなるという違いがあります。印章彫刻の技術は一人前になるには最低でも10年の修行のいる技術です。文字に「太い・細い」の動きを表現することや、文字にスッとまっすぐなキレがあり、流れるような美しさを表現していきます。また細部の仕上げには角度をつけ、材質によって力加減をコントロールするので丈夫さを保つことができ、熟練の技術で美しく仕上げる工夫が詰まっています。
02.機械彫り印章-
既製品の多くは、ロボット彫刻機による「機械彫り印章」です。円枠と文字に「太い・細い」の表現ができないため、見栄えに躍動感は生まれづらく、単調な印象の仕上がりになります。彫刻面は機械ではキレのある刀の仕上がりは難しいため、よくみるとガタガタなので朱肉で押したときにどうしても手彫りよりきれいに写すことができません。
下の参考写真をご覧ください。
・「コンピューターフォント」と「機械彫刻」で製作したのが右。
・「手書きデザイン」と「手彫り」で製作したのが左。
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二つを比べてみましょう。
「古」という字と「橋」という字は、画数に大きく差がでます。そこで美しい文字のバランス、配置に留意し、「古」を小さめに、「橋」を大きめに配置することで、バランスが整うことで、美しく見えます。このような文字のバランスの工夫し、美しく魅せることができるのが手書きデザインの技術です。フルネームや会社印はさらに文字数が多くなるため、書への美の追求を研究し続ける職人の技がいります。そして、手彫りの技術で画数の詰まる個所を細く印刀で彫り、円の周りも限りなく細くすることで、「太い・細い」個所が動きが生まれ、美しい躍動を感じる芸術的価値のある唯一無二の印章が出来上がります。
-お店選びの際は製作工程を確認-
このような違いから、「手書きデザインの手彫り・手仕上げ印章」はすべての作業が熟練した職人の手仕事のためどうしても機械彫り印章より値段が高くなってしまいますが、日本で古くから継承してきた伝統工芸品として価値のある美しいお品です。芸術品・伝統工芸品として価値が高く、手彫りの技術を研鑽し続ける印章彫刻士の技術を次の時代にも継承しようと、当店では「手書きデザイン・手仕上げ印章」をご提案しています。「荒彫り」の工程に一部機械を使用することで、工程にかかる時間を短くし、価格をお求めやすい価格に設定しております。「仕上げ」にはしっかり時間をかけて、細部にもこだわって彫刻しております。気品があり、造形美に打たれる最高の芸術作品をお作りするという気持ちで日々製作に向き合っています。
一生お使い頂く唯一無二の証である大切な印章ですので、このような工程の違いや、手書き文字デザインの大切さ等をわかりやすくご説明し、ご理解いただいた上でお選びいただいております。
まず、お店選びの際は①文字デザイン、②彫刻方法を、どのような製造工程で行っているかを確認してから選びましょう。
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